「Share」で映画違法配信、一斉逮捕へ

ファイル共有ソフト「Share(シェア)」を使い、人気映画を著作権者に無断でダウンロードできるようにしたとして、京都府警ハイテク犯罪対策室や警視庁ハイテク犯罪対策総合センターなどは30日午前、著作権法違反容疑で、京都府城陽市の男をはじめ、10都道府県の約10人の逮捕状を取り、関係先の一斉捜査をはじめた。同日中にも逮捕する。捜査関係者によると、容疑者同士につながりはなく、個別の犯行に伴う一斉摘発は異例という。

 捜査関係者によると、男らは人気の邦画や洋画などを著作権者に無断でシェア上で公開し、不特定多数がダウンロードできる状態にした疑いがもたれている。男らによって違法配信された映画は、数十本にのぼるとみられている。

 ファイル共有ソフトを悪用し、映画などの著作物を違法に配信する行為は後を絶たない。日本国際映画著作権協会(東京)によると、映画を違法に流出させ、著作権法違反容疑で摘発されたのは平成20年で19件。今年に入ってからは、公開中の映画をシェア上で流出させた男が8月に京都府警に逮捕されたのをはじめ、11月末現在ですでに21件にのぼっている。同協会は、「逮捕や罰則強化だけでは抜本的な解決にならない。違法性の認識をもたせるべきだ」と危機感をあらわにする。

 甲南大学法科大学院園田寿教授(刑法、情報法)も「科学技術の悪用をどう取り締まるかが問題。著作権を守る技術開発こそが急務だ」と指摘している。