ブラック会社に勤めてるんだが、もう俺は限界かもしれない

アスミック・エース配給「ブラック会社に勤めてるんだが、もう俺は限界かもしれない」(佐藤祐市監督/小池徹平主演)が、11月21日(土)より渋谷シネクイント他にて全国公開。本作の宣伝プロデューサーを務めた同社映画事業本部の櫻糀恵介氏に聞いた――。

▼今年4月より撮影し、11月公開という当社としては珍しく短い宣伝期間の作品となった。ただ、撮影の段階から宣伝は動き出していた。興行的な意味合いとして11月公開としたのは、大学生の就職活動が始まる時期に合わせたところもある。また、景気停滞、金融危機、リストラ、内定取り消し、ワーキングプアなど、世界的不況のまさに“今の時代”にマッチした作品ということを宣伝コンセプトとして打ち出していった。登場人物に自分を重ね合わせ、「みんな大変だけど、明日から頑張ろう!」と思える、ちょっとした一歩を踏み出させてくれる実話に基づくワーキング・エンタテインメント。

▼どこの会社でも“ブラック会社”に当てはまる所があると思うが、本作のポイントの一つは「人間関係」を描いているところ。今の時代だからこそ人間関係をきちんと築いていくことが大切で、その中から生まれてくるものが大事なんだということを“今”世の中にこそ送り出したかった。関係者、興行者さんなどからの評判も非常に良く、コメディと思いきや、嬉しい裏切りを見せてくれる泣ける作品として日に日に期待が高まっており、オピニオンリーダーからのコメントも続々と寄せられた。TVスポットもコメディ寄りでなく、“勇気と感動の実話”に寄せて作った。

▼ターゲットは、20代〜40代の働く人たちで、コアターゲットは主人公に近い20代前後。どちらかというと男性向けだが、特別前売鑑賞券に「リラックマコラボ・トートバッグ」を付けたりと、女性向けにも撮影時から仕込めるものは劇中に入れていった。また、原作が2ちゃんねる発ということもあり、オンライン展開も充実させ、キャスト、スタッフがブログをほぼ毎日更新させて応援団を募り、製作委員会の名称も「ブラック会社限界対策委員会」として、委員会側も宣伝で稼働し、「働くとはどういうことか?」などを伝えていったのは、この作品ならではの展開。モバイルゲームなども配信している。

▼さらに、働く世代以外にはまだ一般的でない“ブラック会社”というものについて知識を得てもらえるようなスピンオフ「エピソードゼロドラマ」なども制作し、関西テレビさんで放送。メイキングやインタビューなどの特別映像、ショートコンテンツもYahoo!さんでネット配信した。但し、“ブラック会社”というキーワードは流行らせようとしたが、決して“ブラック会社”を肯定することにならないように気を付けた。(全文は文化通信速報に掲載)

(文化通信速報 11月20日付)