仙台・文化学園大補助金訴訟 二審も市に返還請求命令

学校法人東北文化学園大(仙台市)の補助金不正受給事件で、仙台市オンブズマン新日本有限責任監査法人(東京)と同社の元公認会計士に約7億8000万円を返還請求するよう市に求めた訴訟の控訴審判決で、仙台高裁(小野貞夫裁判長)は12日、オンブズマンの請求を全額認めた仙台地裁判決を支持、補助参加人の監査法人側の控訴を棄却した。

 監査法人の過失の有無と、過失と補助金交付の因果関係が争点となった。
 監査法人側は「大学の巧妙、悪質な偽装行為を監査で発見することは不可能で、過失はなかった」と主張。オンブズマンは「監査法人が適切な監査手続きを取らなかったため、大学側の偽装行為を可能にした」と強調していた。

 控訴審で、監査法人側は「市と学園大理事長の癒着とも言うべき関係があった。拙速に補助金交付を決めた市に重過失がある」とも指摘。市は「癒着はなく、議会の議決を経た正規の手続きで補助金を支出した」と反論した。

 一審判決は、監査法人側が金融機関に直接、大学の借入金残高の確認依頼をしなかったため、大学が虚偽の残高確認書を作成する余地を生じさせたと認定。正確な残高確認書であれば大学設置は認可されず、市が補助金を交付することもなかったと結論付けた。

 判決によると、大学側は開学時の1999年、負債を隠し、資産を水増しした会計書類で大学整備促進補助金の交付を市に申請、8億1000万円を不正受給した。不正発覚後、大学側が3100万円を返還した。