大学全入時代 生き残りへ危機感募らせる専門学校

下は2007.10.27の記事。
この時点で、大学はまだ余裕がある状態で景気もよかった。

このころから専門学校の経営破たんを、聞くようになっていた。
大きな原因は、大学の専門学校化。
専門学校や短大から4年制大学への鞍替えが少し前に行われてきたという事実もあった。

専門学校や短大を出でも、学歴的にはほとんど評価されない。世間的には高卒と同等扱いを受けている問い事実があって、専門学校や短大から4年制大学へ転換がされてきた。事実、学生をあつめてきた。あるいは集めることができた。

大学の志願者数と入学者数がほぼ同じになる「大学全入時代」に入り、全国の専門学校が生徒獲得に苦戦を強いられている。文部科学省によると、専門学校の入学者数は4年連続で減少し、少子化が進んでも堅調に推移してきた専門学校人気に陰りが見え始めているという。背景には、高校新卒者の就職率改善に加え、美容師やマンガ家の養成などで大学が“専門学校化”していることがあるようだ。

■閉校

 大阪市西区の日生看護専門学校は今年3月、経営環境の悪化などを理由に廃校し、75年の歴史に幕を閉じた。平成16年4月から男子生徒の募集も始めたが、看護師養成の4年制大学の急増などで生徒確保が困難になり、閉校を決めたという。

 同校を運営していた財団法人日本生命済生会付属日生病院の濱田耕太郎事務長は「国の医療制度改革の影響もあり、病院をめぐる経営環境は年々厳しさを増していた。選択と集中の観点から経営資源を病院に集中することが適切と判断した」と本音を漏らす。

■大学進学率50%超

 文科省の学校基本調査(速報値)によると、専門学校の入学者数は平成15年の33万8264人をピークに減少に転じ、昨年は30万834人、今年は28万2045人にまで落ち込んだ。大阪府内でも昨年、4校が廃止となり、生徒数も一昨年に比べ5693人減少。医療、服飾、衛生関係などすべての分野で前年度を下回った。

 社団法人全国専修学校各種学校総連合会事務局の柴田真成さんは「景気回復や高校新卒者の就職率の改善はもとより、専門学校で教えていた分野に大学が進出してきたことが追い打ちになっている」と分析する。

 少子化の影響で地方国立大や中堅以下の私立大の競争率が低下し、昨年は高校新卒者の大学進学率が初めて50%を超えたことも背景にあるという。
■せめて短大は…

 「生き残りをかけた挑戦が奏功した結果だと思う」。全国でも珍しい美容師養成課程を7年前に開設した大阪府堺市の堺女子短大。8年前に定員割れした志願者数は美容師課程の開設後、定員の約2倍の300人前後で推移している。全国の私立短大の数が10年間で2割近くも激減し、各短大が定員確保に苦しむ中で異例の数字を維持している。

 「美容師の技術を学べる上、『せめて短大は出てほしい』という親の希望をかなえられるのが人気の理由では」と同短大企画広報室の末松嘉久さん。短大経営の“成功例”の一つとして注目が集まっている。

 年々減り続ける生徒をいかに取り込むか。大学経営の多角化が進む中で専門学校も生徒の確保に躍起だ。今夏には大阪府内の30校が合同で高校生対象の体験講座を開催。一部の学校は対象を中学生にまで下げており、“冬の時代”を見据えた取り組みが本格化している。

 大阪府専修学校各種学校連合会の福田益和会長は「学生の絶対数は減る一方だが、大学の数は逆に増えており、学生がさらに大学に流れることが予想される。この逆風をどう乗り切るか、どの学校も難しいかじ取りを迫られている」と話している。

大学全入時代

 18歳人口の減少で国内の大学・短大は、志願者数と入学者数がほぼ一致する「全入時代」を迎える。今春の入試で入学者数が定員を下回る「定員割れ」となった4年制の私立大学の割合は、過去最悪だった前年とほぼ同じ39・5%だった。

 一方、今年3月に高校を卒業した生徒の大学・短大現役進学率は前年度比2ポイント増の51%と初めて5割を超え、浪人生を含む進学率54%とともに過去最高となった。

 文部科学省は今春にも全入時代に突入すると予想していたが、平成19年度の入学者数は69万8000人で、志願者数77万2000人の90%だった。文科省は「志願者が想定以上に多かったが、進学率は着実に上昇している。全入の方向に進んではいることは確か」としている。