マー君が先生初体験、マー節で1時間熱弁

楽天田中将大投手(21)が11日、東京・世田谷区の駒大記念講堂で講師を務めた。約450人の同世代の男女を前に「活き 生き いきたい」と題し、対談形式で約1時間の熱弁をふるった。初体験の先生にも、自然体で「マー君節」全開させ、何事にもプラス思考でぶつかっていく「マー君魂」を注入した。

 田中のシンプルで力強い言葉が、会場の空気を熱くした。

 「WBCで、ああいうすごいメジャーリーガーに対して投げ込んだので、今季は、いい意味で見下ろしてマウンドに立つことができた。考え方ひとつで余裕が出来るんだということを感じました」「15勝できた秘密? 1年目からの失敗を成功に変えたから」「自分は負けず嫌い。野球をやっていて、気持ちだけは負けたくない。ピンチの時は、『ここで抑えればエエんや』って思っています。マイナスのイメージを描くと、その通りになる」「いろんな出会いで、自分の可能性が広がった。自分の素を出して、あいさつすれば、相手も分かってくれる」。

 同世代の約450人が、うなずきながら聞き入った。

 駒大の系列校の駒大苫小牧高出身ということで実現した今回の講演の対象は大学1、2年生。長引く不況の中、これから就職活動の荒波に飛び込む学生たちだ。大学サイドは「大学生活に慣れ、目的・目標・向上力を見失っている学生に対し、著名人の話を聞くことで各大学生活をもう1度見直させ、行動をおこさせることを目的としている」と説明した。同世代ながら、プロ野球の第一線で活躍する田中は、失敗を恐れずに挑戦する前向きな気持ちが、プロでの3年間の結果に反映したと語りかけた。

 普段、周囲は年上ばかりで、同世代の感覚は「あまりピンとこない。学生って楽しいのですかね?」と話す田中だが「就職は難しくなっているのは知ってます」と、同世代が時代の閉塞(へいそく)感に苦しんでいることは感じていた。だからこそ「気持ちひとつで、どうにでもなると思うんです」と、前向きに生きることを強調した。

 「就職活動は厳しいです」と話す経済学部商学科2年の富井美喜さん(21)は「若者はコミュニケーション不足と言われていますし、プロ野球選手として社会に出ている田中さんの話は参考になりました」。マー君先生の熱い気持ちは、しっかりと伝わっていた。【金子航】

 [2009年12月12日8時21分 紙面から]