島根県立大・女子学生遺棄、全学生対象に任意聴取開始

大学「できる限り協力」

 島根県立大1年の平岡都さん(19)(島根県浜田市)の遺体が遺棄された事件で、島根、広島両県警の合同捜査本部は、県立大の全学生約980人を対象にした任意の事情聴取に乗り出した。平岡さんの交友関係などを幅広く把握することを目的とした異例の捜査で、両県警は犯人像を絞り込む手がかりにしたいとしている。大学側は「事件の早期解決のためなら」と、捜査に協力することにした。

 平岡さんは今春、実家のある香川県坂出市から島根県立大に進学。浜田市内で暮らして約6か月で、交友関係が限られていたという。

 捜査関係者によると、平岡さんの周囲には目立ったトラブルはなかった。両県警は、親しい学生らから話を聞いていたが、さらに交友関係や生活実態を詳しく知るため、範囲を広げて調べることが不可欠と判断。11月末から学生たちの聞き取り捜査を始めた。

 県立大によると、両県警の要請を受け、ゼミの教授らが学生たちに希望の日時を確認、学内の会議室を両県警に提供した。担当者は「事件解決のために、できる限り協力する。ただ、任意であり、応じるかは学生の判断だ」としている。

 学生たちは講義の合間を縫って、平岡さんと面識があったかなど、知っていることについて捜査員に話し、アンケート用紙にも記入しているという。

 就職活動や卒業論文作成の時期と重なる学生からは「短時間とはいえ、精神的に疲れた」との声も出ているが、捜査幹部は「学生の負担にならないよう注意を払っている。帰省の始まる今月下旬までに聞き取りを終えたい」としている。

 両県警はこれと並行して、平岡さんが行方不明になったアルバイト先のショッピングセンター周辺の聞き込みも続けている。

 影山任佐(じんすけ)・東京工業大学教授(犯罪精神病理学)の話「被害者の交友関係や人物像を浮かび上がらせる手法として有効。ただ、事情聴取は特異な体験だけに、動揺する学生もいるだろう。きめ細かなサポートで、負担や不安を軽減してほしい」