肥満の学生は卒業できない? 米大学の方針に賛否両論

(CNN) 大学卒業の条件は、学業成績と体格指数(BMI)――。肥満が社会問題となっている米国で、ペンシルベニア州リンカーン大が設定した新たな規定が議論を呼んでいる。

問題の規定は、体重(キロ)を身長(メートル)の2乗で割ったBMIの数値が30を上回り、さらに腹囲の計測結果などから肥満と判定された学生に対し、週3回エアロビクスなどを中心としたフィットネスの授業を取ることを義務付ける内容。これを修了しなければ、卒業が認められないという。規定が設けられたのは2006年だが、当時入学した学生らが最終学年に入り、来春卒業の時期を迎えることから、問題が表面化した。

同大の保健体育部門を統括するジェームズ・ディボイ氏によれば、該当する学生620人の中には、BMIの数値が30未満におさまっているケースや、30を超えていてもすでにフィットネスの授業を修了したケースが多い。まだ検査を受けていないのは80人で、年明け以降に約12―15人がフィットネスの受講を義務付けられる見通しだという。

ティアナ・ローソンさん(21)もその1人。最近になってBMI検査を受け、自分に受講義務があることを知ったローソンさんは、同大の学生新聞に抗議の論説を書いた。

「私がこの大学に来たのは教育を受けるため。BMIは多少高くても、良い成績を取り、優等賞も3回受賞した」と、ローソンさんは主張する。「フィットネスの授業が全学生に義務付けられるというのならまだ分かる。一部の学生の健康状態にだけ干渉し、運動を強制する大学の姿勢は理解できない」

これに対し、ディボイ氏は、学生が将来の目標を達成するうえで、言語や数学の能力と同様、肥満度も社会的評価の対象となるのが現実だ、と説明。「予算が無限にあれば、フィットネス受講の機会を全学生に提供したいほどだ」と話している。