「粘れ就活4年生」大学が支援

減る情報…学内で面接会も
明治大学で行われた「学内採用選考会・面接会」には、リクルートスーツの4年生男女が集まった(東京都千代田区で)

 企業からの内定を得られていない大学4年生を支援する取り組みに大学が力を入れている。独自の面接会を学内で開いたり、内定を獲得していない人に個別に接触したり。

 すでに3年生の就職活動が始まり、民間の就職サイトから4年生向けの情報が減るなか、担当者らは「大学を活用しながら、粘り強く動いてほしい」と話している。

 明治大学駿河台キャンパス(東京都千代田区)で11月中旬に開いたのは、大学4年生向けの「学内採用選考会・面接会」だ。就職キャリア支援部の職員が、採用を続けている企業に声を掛け、メーカーや商社など約60社が集まった。「年内に就職先を決めてもらうのが目標。学内の教室を使い、可能なら企業に面接もしてもらっています」と部長の永代達三さんは話す。

 同大が秋以降に4年生向けの会を開くのは、内定取り消しの学生が出た昨年に続き、2年連続になる。今年はすでに2回開催し、延べ約420人の学生が訪れた。5日に3回目を実施予定だ。

 参加した理工学部4年生の男子学生(22)は100社以上に「エントリーシート」(応募書類)を提出したが、面接にたどり着けたのは十数社。それもすべて落ちた。「卒業研究があるので、年明けは忙しくなる。今回のチャンスを生かし、早く内定を取りたい」と決意を語る。

 法政大学キャリアセンター(東京都千代田区)では現在、4年生の約2割が内定を獲得できていないと推定している。9月頃から、内定のない4年生が「就職活動を取りやめ、留年をしようか悩んでいる」「大学院に進学したい」などと相談に来るケースが例年に比べ目立つという。

 同センターでも10月、39社が参加する4年生向けの「学内説明会」を開催した。この時期に開催するのは初めてで、約400人が参加した。

 立教大学キャリアセンター(東京都豊島区)では4年生に対応する相談員4人を置き、就職支援にあたっている。内定報告のない学生に直接電話をかける活動も秋以降に始めた。すでに3年生の就職活動が始まっており、民間の就職情報サイトには4年生向けの情報が減っている。このため、企業からの求人を直接受け付けている学内の就職サイトで最新情報を得たり、同センターに相談の予約を入れたりするよう呼びかける。

 厚生労働省文部科学省の共同調査によると、来春卒業の大学生の内定率(10月1日現在)は62・5%で、前年同期を7・4ポイント下回っている。景気の悪化で採用を絞り込んだ企業が増えたためで、1996年の調査開始以来、3番目の低さにとどまっている。

 大学が4年生の就職を支援する動きについて、就職情報サイト「マイナビ」編集長の栗田卓也さんは「学生をなんとか正社員として雇ってもらえるよう、大学側もさまざまな手だてを講じ始めた」と話す。また就活を続ける4年生には「落ち続けたとしても、採用のタイミングが合わなかったとだけ考え、前向きな姿勢を持ってほしい」とアドバイスしている。
(2009年12月4日 読売新聞)