大学生「ひきこもり」100人に1人? 神戸女学院大グループ調査

100に1人程度は、見積もりとしては意外と低い。下流大学ではもっと多く。私は100人に3人程度ではないかと思う。まったく授業に出てこない学生も多い。

大学生の100に1人程度が「ひきこもり」状態になっていることが神戸女学院大の水田一郎教授(精神医学)らの研究グループによる初の全国調査の推計で明らかになった。全国で、大学生約2万6千人がひきこもっている計算になる。ひきこもりは大学に入って初めて生じる割合が約8割で、高校から大学への環境の激変が大きく関与していることも判明。研究グループは、大学の教職員や相談機関が連携して支援制度を整える必要があると提言している。

 ひきこもりは外部との接触を断つため、本人を調査できず、これまで全体像は不明だった。水田教授らは昨年末、ゼミや研究室で直接学生に接触する教職員ら4千人以上から、アンケートなどを行った。

 調査結果によると、ひきこもり状態にある学生は全体の0・92%、数に直すと2万5728人という推計になった。教職員が学生の状態をまったく把握していないケースもあるため、さらに増える可能性もある。

 男女別では、男子学生が71・1%と大半。ひきこもりに男性が多いという結果はこれまでの研究と同様だが、原因は不明だ。学年別では、1年生0・92%、2年生0・55%、3年生0・69%、4年生1・44%で、4年生が高い理由は留年などで重複していると推測されるという。

調査では、小中高での不登校の経験についても質問した。ひきこもりの大学生のうち、小中高で不登校を経験した人は16・8%で、8割以上は大学に入って初めてひきこもりになった人がほとんどだという。

 その原因として、大学は中高のような朝から夕まで同じメンバーのクラスが存在せず、孤立化しやすいことが挙げられるという。研究の中心になった大阪大非常勤講師の井出草平氏(社会学)は「中高では問題のない生徒が、自由度が高く、開放的な大学で適応できなくなるのが大学生のひきこもりの特徴だ」と説明している。

 調査結果は厚生労働省に報告されているが、詳細は来年春にも論文として発表される。

 ■ひきこもり 自室でほとんどの時間を過ごし、家庭外での交遊など社会的参加をまったく避けた状態。厚生労働省は原則的にその状態が6カ月以上という基準を設けている。他人と交わらない形で買い物など外出していても同様。要因は多種多様であり、単一の疾患や障害の概念ではないとされる。